最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「だけど、僕が恋人と誤解されるようなら今度からは校門で待ってることにします。それなら一緒に帰ってくれますか?」

「教室に迎えに来るよりはそっちのほうがいいわ」


でもね幻夢。教室に迎えに来て勘違いされたからといってあなたと一緒に帰らないってことはないから。


ただ、私はあなたのほうを心配しているの。

こんな私といたら、あなたまで……。


「だったらそうしますね!あ、そういえばさっきのは友達ですか?」

「えぇ。可愛い女友達が2人できたの」


「良かったですね!念願の女の子の友人。って、そしたら僕と帰る頻度が減ったりしませんか?」

「その目はやめて」


「どの目ですか?」


自覚がないのね。


捨てられた仔犬のような目で見つめられるとこっちも強く言えなくなる。


「そういう幻夢はどうだったの?」

「ボチボチですね。あ、でもやっぱり姉貴がいないクラスは寂し……」


「……そう」


幻夢のことだからクラスの女子の何人かを落としたんでしょうね…。
無自覚の爽やかスマイルで。


「姉貴、話を最後まで聞く前に返事で遮るのはやめてくださいよ〜!あ、そういえば入学式で姉貴のクラスで椅子一つ空いてましたよね?」

「クラスが違うのに見えたの?」


「視力だけは人並み以上にいいですから。ちなみに姉貴もバッチリ見えましたよ!座ってる姿も絵になってました」

「……」


「入学式に参加しない新入生とかいるんですね」

「そうね……」


言われてみたら珍しいかもしれない。


他人だからそこまで気にしてなかったけれど、そういえば1つ空席だった気がする。
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