最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「まさかこんな場所でお目にかかれるなんてな…ククッ」

「兄貴?」


「俺様は離れたところで見ておく。
オマエらは闇姫を捕らえろ。
迅速にかつ無傷で、だ。……わかったか?」

「はいっす!テメェら聞いたか!?総長命令だ。闇姫を取り押さえろ!こっちは20人以上はいるんだ。束になってかかれば〝 闇姫 〟なんて恐くねぇ!!」


「組に所属すらしてないただの不良に、族である俺らが負けるわけねぇ!」

「たかが女1人だ。やれぇぇぇ!」


そう、闇姫は裏社会で有名ではあるものの、どこの組にも入っていない。
ましてや暴走族でもない。


ただの不良少女。闇姫はまぶたをピクリとも動かすことなく男たちに向かっていく。


闇姫に恐怖という感情はないのだろうか。


「……はい、おしまい。私のことを知ってる人に会ったら伝えて。俺たちは女1人にも勝てませんでした、って」


返り血を手で払うも、闇姫自身は傷一つついておらず。


闇姫は美しく、儚い。そして、強い。


闇姫は誰よりも最強だった。


風に靡く金色の髪。


戦う姿に魅了される男達も多く、闇姫と一度会った者は皆、闇姫の虜になった。


「美しすぎる貴方に手も足も出ませんでした……」

「闇姫に盾突いてすみませんでした!」

「今後は姉貴と呼ばせてください!!」


闇姫の下につく者、闇姫に負けたものたちは誰しもが闇姫を敬い、尊敬した。
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