最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「白銀先生って、あの有名な白銀龍幻先生だったんですか!?」

「君たちは俺のことを知ってるのかい?」


「当たり前じゃないですかぁ。その若さで吸血鬼の研究をしてるなんて凄いですよ!」

「1人でいろんな薬を作れるんですよね!?」


「年齢でいえば、君たちのほうが若いんだけどね。薬も1人で作れるとはいっても簡単な物しか作れないよ」

「またまた~、それこそ謙遜ですよ」


「……」


1時間目の授業が始まるのは当分先のようね。


「白銀っち。めっちゃ人気じゃね?」

「風夏ちゃん……」


教師をあだ名で呼ぶのはまずいと思うのは私だけかしら。


「生徒にフレンドリーな感じで、イケメンならモテて当たり前かぁ。でも昨日は女子に声かけられてもガン無視だったのに別人すぎー」


言われてみればそうかもしれない。
昨日の風夏ちゃんの話とはまるで違う。


……笑ってるようで笑っていない。
あれは完全に作っている。


「闇華ちゃん、どうしたの?白銀先生を見ながら怖い顔してるよ。なにかあった?」

「え?ううん、なんでもないの」


夢愛ちゃんに心配をかけるわけにはいかない。大したことで悩むのはやめよう。


白銀先生が本当の笑顔を見せないからといってなんだというんだ。私にはなんの関係もない。


ただ、私にはわかる。夜の世界、裏社会でそういう奴らをたくさん見てきたから。

最初は仲間のフリをして最後には裏切る人も、平気で嘘を並べて相手の心を惑わす奴も。白銀先生もきっと私のように汚れた世界を見たことがある人間なんだろう。
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