最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「……起きて」

「……」


2人を先に行かせて教室に残っているのは私と皇綺羅君だけ。


誰も怖がって彼を起こそうとしない。


先生に頼まれたわけじゃないけど、私が声をかけないと彼は放課後まで眠っているような気がしたから。


「ねぇ、皇綺羅君」

「……」


今さっき来たばかりなのに、とても気持ちよさそうに寝ている。

授業中も一部はうるさかったのに、そんな状況でも熟睡できるなんて……。


本当によく寝てる。
昨日はあまり眠れなかったのかしら。


「次の授業は音楽だって。移動教室だから先生来る前に早く……」

「……」


やっぱり無反応。


「具合悪いような保健室に」

「うるさい」


「え?」

「アンタさ、さっきからしつこいんだけど」


「さっき、から?」


どういう意味?


「こんな騒がしい教室で俺が本気で爆睡してると思ってたわけ?」

「えぇ。だっていくら声をかけても返事をしないから」


「返事をしないってことは、つまり返事をしたくないってことだよ」

「どうして?」


「授業を受けるのがダルい」

「……」


こうして話してる間も皇綺羅君は机に突っ伏したまま顔を上げようとしない。
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