最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「ていうかさ。さっきから甘ったらしい匂いがして不快なんだけど」

「!」


急に髪をすくい上げられた。


起き上がる気はけしてないのだろうけど、目線はしっかりと私を見て視線を離そうとしない。


黒い瞳はまるで漆黒の闇のように深く、見つめていると引き込まれそうになる、そんな目。


「甘い匂いって……」

「シャンプーの匂い?いや、女の……フェロモン?」


「フェロモン?」

「見た目は普通のくせして、こんな匂いをプンプンさせて……。この匂い、龍幻と似てんな」


「龍幻……?」


龍幻って、白銀先生のことよね?


何故、彼が白銀先生のことを知ってるの?


「なんで普通の人間がそんな匂いさせてんだよ」

「え?」


いきなり不機嫌そうな顔をする。


「気に食わない」

「気に食わないっていわれても困るわ」


「その匂いの原因がなにかわかるまでアンタを離さない」

「!?」


頭をガシッと掴まれたと思った瞬間、皇綺羅君とグッと距離が近付いた。


急に皇綺羅君の顔がドアップで、その距離は唇が当たりそうなくらい近い。
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