最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「どうしよう」


これは閉じ込められたっていう認識で合ってるのかしら。


……困った。

鞄も教室に置いてきたままだし、スマホは当然スクールカバンの中。


救助はさっきの様子からして期待できない。


「ハァ……ハァ……っ」

「な、なに?」


近くで誰かの息遣いが聞こえた。


とても苦しそうで……。


「体調でも悪いの?」


私は声のするほうへと歩く。

誰もいないと思っていたから少しだけ驚いた。


少しずつしか歩けないのは足元が見えないから。電気をつけようにも真っ暗すぎてどこにあるのかわからない。


高い場所に窓があるのにふと気付いた。

そこから月明かりが漏れて、そこにいる人影がはっきりと見えた。


「すめ、らぎ君?」

「アンタは……、炎帝……闇華?」


跳び箱に寄りかかるようにして座り込んでいたのは皇綺羅君だった。


なんで?

帰ったはずじゃ……。
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