最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「闇、姫?」

「アンタにいったところでわからない」


「話して?」

「は?」


「話くらいなら聞いてあげられる。話をしたら落ち着くかもしれないでしょ?」

「……」


ここで嫌だと断られたらそれまでだ。でも、貴方が闇姫を知っているなら私は聞きたい。


皇綺羅君、あなたにとって闇姫ってなんなの?


どこか懐かしい、遠くない記憶。
さっきから私の心は疼いている。

私はなにか大切なことを忘れている気がする。


「引いたりしないか?」

「えぇ」


「だったら話す」

「ありがとう皇綺羅君」


「お礼なんかいって変な奴だな、アンタ」

「それで話って?」


「それは……。この姿を見れば、俺の正体がなんなのかくらいわかるだろ?」


さっきから隠す様子もなく血が足りないと言えば、それなりに予想はつく。


私の前で隠すことすら難しいのかもしれない。たぶんそれが正しい。
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