最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「皇綺羅君。貴方…、吸血鬼なんでしょ?」

「ああ、そうだよ。悪いか?」


「別に悪いとは一言もいってないわ」

「ただ、普通の吸血鬼じゃないんだ。俺は……半端モノ。裏社会で紅い月ってのを摂取した。いや、正確には無理やり摂取させられた」


―――パチッ。


パズルのピースが1つ、はまった気がした。


「闇姫に助けられたんだ。俺が紅い月を摂取して暴走しかけたとき、アイツの血を飲んだらおさまったんだ。それから俺は吸血鬼として生きている。昼の世界で過ごしているお前には想像もつかないことかもしれないけどな」

「……」


―――パチン。


ピースは全て埋まった。


「壱、流?」

「なんだよ。いきなり下の名前で」


「そう。やっぱり、貴方が……」


最初は気づかなかった。だって昔とはあまりにも違っていたから。

弱々しいあなたの面影なんて残っていない。


「っ……」

「壱流!?」


皇綺羅君、ううん、壱流はまた苦しそうに胸をおさえていた。


「どうしてアンタを見ると血が欲しくなるんだ?あれだけ飲んだら満足するはず、なのに……なんで」

「っ!」


私は近くにあったマットに押し倒された。
< 64 / 206 >

この作品をシェア

pagetop