最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「餌、エモノが目の前にいる」

「っ、違う。私は…闇華。食料じゃない!」


―――ガブッ。


「っ、つっ!!」


手加減なしの吸血。それは想像絶する痛み。


普通の女の子だったら気絶するレベル。


「エサ、血、オンナ」

「だから違、う」


意識が遠のくほどに勢いよく血を吸われていく。

赤い瞳はいまだ黒には戻らない。


こんな形の再会、私は望んでいない。


「お願い、壱流。元に…戻って」


今、意識を手放すのはいけない。

駄目。絶対に。


「美味い…もっとよこせ」

「っ…!!」


これ以上吸われたら私も無事では済まない。


壱流を止めなきゃ。

だけど、もう抵抗する力も残ってない。


壱流を助けたい。

こんな姿、彼だって望んでない。


「いち、る…」

「壱流!オマエなにやってんだ!!」


「!?」


勢いよくドアが開いた。


「新しいエサか。よこせ、お前の血も!」

「待って!壱流、その人は…!」


―バンッ!!!


――ドサッ。


銃声が鳴り響く。


壱流はその場で倒れた。
< 66 / 206 >

この作品をシェア

pagetop