最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「白銀、先生。今のは?」

「心配いらない。
今のは眠り薬が入った銃だから」


「そう、ですか…」


いきなりだったから驚いたけど、白銀先生がいきなり壱流を殺すなんてありえない。


「キミこそ大丈夫だったかい?助けに来るのが遅くなってすまない。教師の仕事をしていたら、こんな時間になっていて」

「大丈夫です。助けていただきありがとうございました」


「…あぁ。キミは赤い目の、そうか。キミがそうだったんだね」

「壱流には黙ってて、ください。
できれば今日あったことも」


白銀先生はすべてを察したかのように目を伏せた。


気付かれてしまった。

壱流が捜し続けている闇姫が私なのだと。


「その理由を聞いてもいいかい?」

「…今の壱流に私は相応しくないから」


今回のことで嫌ってほど痛感した。

自分は弱いんだと。


強くならなきゃ。

壱流を守れるくらい、もっと。


「キミがそう望むなら、オレは壱流に隠し続ける。だが、壱流にもあまり時間がないことを理解してほしい」

「時間って…」


なんのこと?


「それはいずれ本人の口から。ここでオレが話すのは違う気がするから」

「わかりました」


なにを隠してるの?


紅い月を摂取した人の事は人並みには知っている。

でも、白銀先生の言い方だと私の知らないことがあるってこと、よね…。
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