最強総長は闇姫の首筋に牙を立てる~紅い月の真実~
「キミは自分が思ってる以上に愛されてるってことだよ」


愛されてるって…。


「私は助けただけです。これは愛なんかじゃ…」

「卑屈になるのは何か深い理由でもあるのかい?」


「私はただ彼に…壱流に幸せになってほしくて。ただ、それだけだったのに」


半端モノがどういう境遇を受けているのは元々知っていた。


知ってたのに、わかっていたはずなのに。


あのまま死なせるわけにはいかなかったから。

だから私は…。


「キミがそんなに気に病むことはない。壱流は幸せだよ。最初は居場所がなくて1人だったけど、今はたくさんの仲間に囲まれてる。それにオレも壱流に助けられた身だしね」


「白銀先生」

「どうしたんだい?」


「これからも壱流のこと、よろしくお願いします」

「わかってる、大丈夫だよ。キミが闇姫として裏社会に戻って来れないのはわかってるからさ」


「私が姿を消したことも闇姫を卒業したこともご存知なんですね…」


白銀先生に隠し事はできない。

仮にウソをついたところで、すぐに見透かされるに違いない。
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