カラー×カラー×カラー ~Cruzar Another story 2/5~
動いたのにも関わらず、そこに何の感情も読み取れないなんてこと、今までなかった!

ベンチから立ち上がり、急いで混雑する周囲を見渡したが、誰の感情も読み取れない。
厳密に言えば、濃淡がない。


「どういうこと…」

いつから…

「ねえ、君は何でまだ生きてるの?」

耳元で声がして、弾かれたように後ろを振り返る。

そこに立っていたのは、パーカーのフードを被った、二十歳くらいの男だった。

「なに…」

「君が離れなければお母さんは死ななかった。
君のせいで、お母さんは死んだのに。
それなのに、君は生きてるの?」

「………」

「そんなのおかしいよね?お母さんは死んで君だけが生きてる。」

「………」

「ねえ、死ぬべきじゃない?」

「………」

「君も分かってるよね?」




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