カラー×カラー×カラー ~Cruzar Another story 2/5~
「いつも通り可愛らしいですよ。」

そう言ってニコリと笑ったが、その笑顔は直ぐに曇ってしまう。

「ロリータ服、暫く着づらくなっちゃいますね。」

そう、私が着ているのはロリータ服。

そしてこれが通常モードであり、これまで街中で着ることに躊躇いはなかったのだが…

ロリータ服を着た犯人による無差別殺傷事件があった後となると…

だけど、暫くの間とはいえロリータ服を着れないのは、何かが欠けたような、足りないような、そんな気がして落ち着かない。

私にとってこの服は、社会人でいうスーツというか、学生でいう制服というか、そういったものだった。

それに、着ているとこの年不相応の性格が大分鳴りを潜めるのだ。

特に大塚のおじ様と話している時は子供に戻れるし、かなり重宝しているアイテムだった。

それでも、一緒にいる亜木さんも変な目で見られるのは避けたい。


「しょうがないですよ。暫くは自重します。」



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