明日、告白してもいいですか?
 



「明日、社報の写真撮影なんですよ。
 このニキビ、明日までに消えないかなあ」

 私は行きつけの喫茶店のカウンターで愚痴っていた。

 木々に囲まれたガラス張りの建物。

 外観は今風だが、中に入ると、カフェというより、昔ながらの喫茶店といった感じの落ち着いた雰囲気がある。

「私、繰り返し、此処にニキビができるんですよね。
 学生時代から」

 昔は青春のシンボルだと自分を慰めていたが。

 いつの間にか、ただの大人ニキビになっていた。

「あーあー。
 これさえなければ、あのとき、告白できてたのになあ」
と言うと、サイフォンで珈琲を淹れていた八丈島(はちじょうじま)先輩が、

「誰に?」
と訊いてくる。

「えっ? やだな。
 八丈島先輩にですよ」
と私は高校のとき、テニス部の先輩だった八丈島先輩を見上げて言った。

 相変わらずのイケメンだ。
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