明日、告白してもいいですか?
「それ、本人に言うの、どうなんだ……」
と言いながら、珈琲を出してくれる。

「やだな~、(しん)くん。
 今、告白してんだよね? 志麻(しま)ちゃん」
と椅子ひとつ向こうの席で新聞を読んでいた常連のおじさんが、ひひひ、と笑って言った。

「いいえ」
と私はおじさんに言う。

「あ、そうなの」
とおじさんは苦笑いしていた。

「今、なんとも思ってないから言ってるんでしょうよ」
とどっちでもよさそうに言いながら、八丈島先輩はメロンソーダを作っていた。

 ぽん、とバニラアイスを載せて、その上に真っ赤なさくらんぼを置く。

「私、そのニセモノさくらんぼ、嫌いなんですけど。
 メロンソーダにはやっぱり、その真っ赤なのがいいですよね」
と言うと、

「……ニセモノじゃねえだろ」
と八丈島先輩は言う。

「就職もしたし、ちょっと大人な気分を味わいたいので、珈琲頼んでましたけど、やっぱり、今度からメロンソーダにします」

 そう言って、
「好きにしろ」
と言われてしまった。



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