愛おしい君のためならば、僕は君の光となろう
絶望した君の顔を見る度に、僕の胸は痛むんだ。

どうして、そんな顔をするの?僕と君は、働いてる場所が違うから何が起こっているのか分からない。でも、僕は君を救いたいんだ。

だって、僕は……君が好きだから。高校生の時に君と出会ってから、僕の色褪せていた日々が変わったんだ。

「ねぇ、雪(ゆき)は……どうしてそんなに暗い顔をしてるの?」

僕が問いかけても、僕の彼女の雪は「何でもないよ?」と笑う。

そんなことはない。じゃあ、何で雪は度々絶望した顔を見せるの?

「誠(まこと)、明日仕事だから……そろそろ帰るね」

「……分かった」

雪はそう言って帰る時、一瞬表情が曇るんだ。いつか、僕に真実を話してくれるのかな?



「お疲れ様でした」

申し送りが終わり、僕が所属する階に向かって移動してる途中、考えるのは絶望した顔をした時の彼女の雪のこと。

ちなみに、僕は家の近くにある介護施設で働いてる。

「……春川(はるかわ)さん」

誰かに声をかけられた気がして、僕は「はい」と声をした方を向いた。そこにいたのは、日誌を片手に持った夜勤さん。

「PHS、渡すね」

そう言って、夜勤さんはPHSを僕に差し出す。僕は「ありがとうございます」とPHSを受け取ると、PHSに付いている紐を首にかけた。
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