愛おしい君のためならば、僕は君の光となろう
PHSを胸ポケットにしまって業務に取り掛かろうとした時、事務所の人が「春川さん。ちょっと良いですか?」と僕に近づいてきた。

「はい」

「雪さんと言う方が、春川さんに会いたいと……様子が変なので、会ってください」

雪……?雪って、僕の彼女の?

「分かりました……」

近くにいた主任に話をして、僕は事務所の方に向かう。入口にある椅子には、暗い顔をした雪が座っていた。

「……雪、どうしたの?」

「誠……もう嫌だ!!」

僕に縋り付いて、雪は泣き始める。僕は、無言で雪が泣き止むのを待った。

雪は「……仕事中、ごめんね」と僕から離れる。その時見せた表情は、良く僕に見せる絶望した顔だった。

「ごめん、なさい……迷惑なの、分かってる……でも、耐え切れなくて……仕事終わったら、話聞いてくれないかな?」

雪の言葉に、僕は頷いた。



僕は、雪を連れて家に帰る。雪を家に上げて、荷物を片付けると雪に近づいた。

「……雪、大丈夫?」

僕が問いかけると、雪は「……死にたい……」と呟く。

「そっか……どうしたの?」

雪と目線を合わせて、僕は微笑んだ。雪は、ゆっくりと会社での出来事を話してくれた。僕は、それを傾聴する。

「……そんなことがあったんだね」
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