愛おしい君のためならば、僕は君の光となろう
雪の話をまとめると、雪は会社の人からいじめを受けているらしい。

「そっか……雪、頑張ったね」

そう言って、僕は雪を抱き締めた。雪は、声を上げて泣き始める。

……昔、僕はたくさん泣いてたっけ……。

僕は、ふと高校生の頃を思い出した。



僕は、高校生になるまで一人ぼっちだった。両親はいたけど仲は良くなかったし、友達もいたけど離れていったんだ。

だから、高校生になってからも一人ぼっちだと思っていた。

『ねぇねぇ。君、どこの中学校から来たの?』

僕の前の席の女の子――雪が話しかけてきて、それから仲良くなったんだ。

『……』

また雪も離れていくんだろうな、そう思っていたのに……。

『誠、一緒に帰ろ』

雪に友達が出来ても、雪は僕から離れない。だから、2人きりの時僕は雪に質問したんだ。どうして離れないのか、と。

雪は少しきょとんとした顔をしたあと、優しく微笑む。

『難しい質問だね……離れたくないから、離れない……としか、答えられないかな。誠は、ずっと一人ぼっちで寂しかったんでしょ?私は、誰かそのような思いをするのは嫌なの』

そう言って、雪は僕を抱き締めたんだ。僕は、その時人前で初めて泣いた。それでも、雪は側を離れなくて……。
< 3 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop