暗闇の中で
それはピンク色の可愛らしい紙袋だった。中には私が好きな中塚明菜ちゃんのDVDと手紙が入っていた。手紙には達筆な字で丁寧に、好きです。ずっと愛してます。と書かれていた。少し心がジワーっと暖かくなり、心が揺れてしまった。私はこの感覚を知っている。そしてそのDVDと手紙を母の祭壇の前に持っていき、何度も見返す。そしてこれは罰ゲームやらドッキリなのではないかと防衛線を引く。そうなってしまったら私はもうこの手紙にどんな文字が書かれようとどうでも良くなってしまう。その日は右上に書かれた10という数字に気づく事もなく、眠りについた。
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