僕の見た夢と君の話
結局、あんまり先生の話を聞かないまま一日が終わる。
一日ずっと、頭の中はあの女の子のことがちらついていた。


「魚住~!」

「あ、双見…」

双見が元気に僕に走り寄ってくる。

「ねえ、みんなでファミレス行こって!行くでしょ!?」

「え、え~と…」

「行こ!」

楽しそうに双見は僕を誘う。

「う、うん、ちょっとだけなら良いよ…?」

負けた…
一人でのんびりあの女の子のこと考えたかったけど、仕方がない…悪いし…。

「…やった!魚住も行くって~!」


「魚住~、ねえ!…また聞いてない~!」

ダメだ、双見が話してくれているのに…

「魚住ね、今日はいつもよりぼんやりが悪化してるの!何かね…」

双見、みんなに言おうとしてる…僕が見た夢のこと…恥ずかしい…

「やめて双見っ」

「だって、魚住、話しかけても聞いてくれないから……そんなに夢の子が気になる?」

双見の言葉に、夢の子って誰~、とかみんなが盛り上がって言う。他の男子は、お前夢で何したんだよ~、とか囃し立てて…

「…双見なんか嫌い…」

僕は本気でイライラした。言わないで、って言ったのに…
双見は少し困ったように笑って言う。僕が拗ねたと思ったらしい…

「だって…」

「無神経じゃない?そりゃボーッとしてたのは悪かったよ。でも、やめてって言った。…ごめんね…今日は帰るよ…。誘ってくれてありがとう…」

僕は双見が何か言う前に、みんなに頭を下げて、お金を置いて店を出た。

(酷いこと言ったかな…せっかく誘ってくれたのに…。でもあの夢の子、僕に何か言いたかったのかもしれないのに…バカにされたくなかったな…。)

僕は帰り道、ちょっと後悔しながら家に帰った。


またその夜、夢を見た。

昨日よりも僕の近くで、昨日と同じ格好の女の子が下を向いて泣いてた。

「ねえ…どうしたの…?」

昨日よりは近くなった、でもまだ遠くてあの子に聞こえるかわかんない。でも、僕は出来るだけ大きな声で聞いてみた。
口は動いてるみたいだ、でも何て言ってるんだろう?聞こえない…

「泣かないで…?僕でよかったら聞くから…」

女の子は顔を少しあげたみたい。顔はまだ良く見えないけど…
あれ…少し笑ってくれたみたい…でも…何だか…
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