奏でる愛は憎しみを超えて ~二度と顔を見せるなと言われたのに愛されています~
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たまたま、その日は免許を取ったばかりの奏が練習がてら近所をドライブしていた。
梨音が駆けていく姿を、偶然に奏が見かけたのだ。
(梨音じゃないか。親父さんの迎えはないのか?)
奏はなにか胸騒ぎがしたので、思わず車をUターンさせていた。
角のコンビニまで引き返したら、梨音が高校生に絡まれているのに出くわした。
着崩した制服姿の男子学生のふたり組が、梨音に声を掛けている。
「いいじゃん、ちょっと俺たちに付き合ってよ~」
「い、急いでいるんで、行きません」
「可愛い顔してんじゃん」
そのうちのひとりが、梨音の腕を力任せに引っ張ったのが見えた。
「離して!」
梨音が腕を掴まれているのを見た瞬間、奏の頭に血が上った。
「なにをしている!」