奏でる愛は憎しみを超えて ~二度と顔を見せるなと言われたのに愛されています~
「あんまり他人を信じない方がいいよ。敦子さんって勝手な女だからね~。梨音ちゃんのこと可愛がってたのに、いらなくなったらポイだもん。間野家の女王さまには誰も逆らえないんだ」
京太は誰かにしゃべりたかったのか、愚痴が止まらなくなったようだ。
「梨音ちゃんには悪いと思ったんだ。ホントだよ。でも僕も自分が大切だから、奏のことは諦めてね」
京太も興奮しているのか、早口でまくしたてる。
「ふたりを別れさせることができたら、僕を間野家から解放してくれるって約束したんだ」
京太は脱ぎ捨てていた服を身に着けると、そのポケットに入っていた茶封筒を梨音に差し出した。
「ほら、これ」
京太が受け取れというように梨音の方に差し出した。
「敦子さんも無一文で君を追い出すつもりはないみたいだよ」
京太が中身をチラリと見せると、ゼロがいくつも並んだ金額の小切手だった。
「これを元手に、新しいスポンサー見つけなよ。あんた、可愛いいから直ぐに見つかるよ」