奏でる愛は憎しみを超えて ~二度と顔を見せるなと言われたのに愛されています~
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連日『日暮亭』は大賑わいを見せていた。
新たに梨音のアイデアで、常連の国広と坂上から預かった商品をインテリアとして店内に飾りながら販売もするようになっていた。
古風なランプやモダンな絵画など、同じ商店街にあるふたりの店には掘り出しものがいくらでもあるのだ。
「梨音ちゃんは流石だねえ~。俺たちまで儲けさせてもらっちゃった」
この日も国広と坂上のコンビはお昼過ぎからいつもの席に陣取っている。
「今日のチーズケーキは特に美味しく感じるよ」
「美味しいコーヒーとケーキは最高だね」
ふたりがのんびりと午後を過ごしていると、元気な声が聞こえてきた。
「ただいま~」
昴が幼稚園から帰ってくる時間だ。お迎えに行った奈美と一緒に店に入ってくる。
「奈美さん、お帰りなさい」
「梨音ちゃん、いつも子守りしてもらってゴメンね」
奈美が昴のお迎えに行く時間は、梨音が幼いももを預かっている。
そろそろ首が座ってきたももの世話は、梨音にとってなによりも癒しになる。
抱き上げるとミルクの匂いがして、幸せな気分になれるのだ。