凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「毎日連絡を取り合っているのと、椎名さんが私を好きというのは必ずしもイコールではないよ。文通相手かもしれないし」

『今どき、文通って』

 呆気に取られた声がして、さすがに無理があったと私も苦笑した。

『でも菜乃は好きでしょ?』

「うーん……」

 もうキッパリ否定はできない。これがなんのしがらみのない大学生の頃であれば、好きという気持ちを自分で大きく成長させて、恋に発展させていたはず。

『私は椎名さんについてなにも知らないけど、菜乃から聞いた話だけでも素敵な人だと感じたよ。向こうもまだ探りを入れている段階かもしれないし、突っ走れとは言わないけど、気持ちに蓋をしないで思うままに行動してほしい』

 いつまでも見放さず、最終的に私の心に寄り添った言葉をくれる姉には頭が上がらない。

「うん、ありがとう」

『とりあえずプレゼントは、ハンカチとかボールペンにしておいたら?』

「あっ! ボールペンいいかも! 椎名さん勤勉だし」

 やっと具体的な案が出て声が明るくなる。

『楽しそうでいいね……こっちは仕事に忙殺されそうなのに』

 さっきまで私の恋路を応援していたのに、急に声色を変えて恨めしそうにする。

 会う度に色恋話を聞いてくるわりに、姉もここ三年ほど浮いた話がない。
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