凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「日菜香ちゃんは相変わらず?」

『忙しくてしばらくは無理かな。なんだかんだ仕事が楽しいし。三十歳の誕生日を迎えたら、気合いを入れて婚活パーティーに行く』

 仕事が楽しいというのは私も同意見だ。そしてきっと椎名さんも。

 パイロットは国内線勤務であっても三日間家に帰れないことも結構ある。ましてや椎名さんは国際線のフライトがある人だ。月に十日ほどの休日があるといっても、月の半分しか家にいないはず。

 多忙の彼と付き合って、私は心穏やかでいられる?

 一昨日は紺野さんとふたりで飲んでいると言っていた。でも同じグループで行動しているCAたちと、海外での滞在中一度も食事を共にしないとは考えづらい。

 絶対にヤキモチ焼きそう……。

『あーっ、もっと話したいのに。ごめんね、そろそろご飯食べないと時間なくなる』

「忙しいのに話聞いてくれてありがとう。仕事頑張ってね」

 姉との通話を終えてからも、先ほど頭をよぎった負の感情がなかなか消えない。

 気が滅入り、ぼんやりとしながらナスの南蛮漬け、ニンジンしりしり、ほうれん草の胡麻和え、もやしナムルなどを着々と作っていく。
< 109 / 248 >

この作品をシェア

pagetop