凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
『十五時半に出発して、翌日の十時五十五分に到着予定だ。明日羽田に到着するまで連絡が取れないと思う』

 顔を上げてしっかりとうなずく。

「わかりました。私は十四時半頃まで勤務していますけど、朝と昼の休憩のときはスマホを確認できます」

『一度帰るかもしれないし、そのまま自習室で勉強しているかもしれない。どちらにせよ新川さんを家まで送っていくから、そのつもりでいてほしい』

 白昼堂々椎名さんと待ち合わせをして、さすがに目につかないだろうか。まだなんとも言えない関係なので、周りにバレて騒がれたくない。

『心配しなくても、人目には気をつけるよ』

 諭すような口振りに、胸をチクリと針で刺されたかのような痛みが走る。

 椎名さんと一緒にいるところを見られたくない理由を、悪いものとして受け取っていないだろうか。

 かといって複雑な心境を伝える術が見つからず、「すみません」としか返せない。

「あの、体調は問題ないですか?」

『すこぶる元気だよ。これからホテル周辺をウォーキングしてから支度に取りかかる』

 これから十二時間以上のフライトを控える人とは思えない発言に唖然とする。

 すごい体力だ。
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