凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「元気そうでなによりです。フライトお気をつけて」

『ありがとう。会えるのを楽しみしているよ』

 胸をぎゅうっと掴まれたような甘い痛みに、歯を食いしばって耐えているうちに通話は切れた。

 私の方は相変わらずぎこちなさが残っているのに対し、椎名さんは日を追うごとに態度がくだけていく。

 椎名さん、恋人にはどんなふうに接するのかな……。

 よろよろと立ち上がって、ドキドキと高鳴る心臓に手をあてる。ものすごい音だ。ランニングしたあとよりも動悸が激しいんじゃないかと思うくらい。

 まだ耳に椎名さんの声が残っていて、余韻に浸ろうと目を瞑りかけたところでハッとする。

「レッスンの準備しなくちゃ」

 粗熱を取っていたタッパーの蓋を次々に閉め、慌ただしくそれらを冷蔵庫に入れ、教材とパソコンが置いてあるテーブルへと急いだ。

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