凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「丁寧に剝がさなくていいのは、捨てるものに限るから」

 さすがに包装紙を保存しておくわけはないだろう。でも大切なものだからという意思が伝わって頬が火照った。

 箱を開け、中からボールペンを取り出した椎名さんが目を弓なりに細める。

「ありがとう。嬉しいよ」

「なにがいいのかわからなくて、なるべく実用的なものにしました」

「これなら毎日使える」

 カチカチと芯を出したり引っ込めたりしている姿に慌てて言う。

「無理して使わなくていいですからね。使い慣れたもののほうがいいでしょうし」

「いつもは使い捨てのものを使っているから、このボールペンの方が使い心地がいいに決まっている」

 ものにこだわらないタイプなのかな。それならもっと質のいいボールペンをプレゼントすればよかったと内心悔やむ。

 高そうなネックレスをいただいている身でなんだが、あまりに高価な品を送ると気を遣わせるかもしれないと考え無難なブランドにしたのだ。
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