凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「俺は」

 空になったグラスを横にどけ、組んだ両手をテーブルの上に置いた椎名さんが声を低くする。

「こんなふうに隠れて君に会いたくない」

 そりゃあそうだよね。もっともな意見に肩をすぼめたところに、続きの言葉が降ってきた。

「堂々と、新川さんが俺の大切な人だと周りに言いたい」

「は?」

 驚きのあまり、とんでもなく失礼な声が飛び出していた。

「新川さんが好きだ。付き合ってほしいと思っている」

 今度は息が止まり、声が喉を上がっていかない。

 呆然としている私の変化を、一瞬たりとも見逃さないという気迫で見据えられて、指先を動かすことすらできなかった。

「返事は今すぐじゃなくていい。ゆっくりと、前向きに考えてはもらえないだろうか」

 心がざわりと波打つ。答えを先延ばしにしたくないと思うのに、慎重にならなければいけないという現実的な思考が邪魔をする。
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