凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「新川さんのお母さんが倒れたとオフィスに連絡が入ったそうだね。早退して病院に向かった方がいい」

「あっ、はい。そうですよね。私も同じ意見です」

 事情を把握していたらしい真鍋さんは、面食らったようにこくこくと首を縦に振る。

「真鍋さんもこう言っている。それになにかあった場合、他の人間がカバーできるよう人員配置はされているはずだ」

「それはそうなんですけど」

 ここまで言っても渋る新川さんには強引さが必要のようだ。

「俺は一時間ほどで上がれる。車で行くか電車で行くか、どっちが早いだろうか」

 俺の問いかけに新川さんは目を泳がせる。即決できないのは、甘えたいけど気を遣って躊躇しているからだと思う。

「一時間後に出られるように準備をしておいて。俺からも上に報告しておく。真鍋さん、迷惑をかけるけどよろしくお願いします」

 目を白黒させていた真鍋さんだったが「はいっ!」と、はっきりとした声で返事をくれた。

 そこでようやく新川さんの腕を解放し、肩をポンッと叩く。

 新川さんは黙ったままだったが、決心したように大きくうなずいた。
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