凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 送迎をしようかと言われたが、付き合いたての彼を母親に紹介するのはハードルが高かったので、丁重にお断りをさせてもらった。

【もうすぐ着く】

 手の中にあるスマートフォンに届いたメッセージに目を通して、そわそわと落ち着かない胸に空気をすうーっと送り込む。

 母親のマンションから歩いてすぐのコンビニエンスストア店内で虹輝さんの到着を待っていると、駐車場に見知った黒のスポーツセダンが入ってきたのでアイスコーヒーをふたつ買って外に出た。

 来週には八月に突入する夏真っ盛りの空からは、肌を焼き焦がすような陽射しが降り注いでいる。

 駐車した車から虹輝さんが降りてきて、私を視界に捉えて手を軽く上げた。

 こんなに暑いのだから降りずに車内で待っていればいいのに。そうしないのが虹輝さんで、彼の優しさと思いやりの深さは底なしだ。

「お待たせ」

「こちらこそ、こんなところまで来てもらってありがとうございます」

「お母さんは元気そうだった?」

 虹輝さんは喋りながら助手席のドアを開けて私を中へ誘導する。
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