凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 閉めることを許されず、開けっ放しだった口の端から唾液が顎先まで落ちた。

 無意識に虹輝さんの服を握りしめていて、こちらの限界が伝わったのか、強く押し付けられていた唇がすっと離れた。

 肩で息をしながら濡れた顎を手のひらで拭う。

 び、びっくりした……。

 真っ昼間から誰に見られているかもわからないような状況で、こんな濃厚なキスをされるとは思わなかった。

「空港ではこういうキスはできないだろう?」

 さっきの答えだよ、とでもいうような発言をされて言い返せない。

 目の前に伸びてきた腕がシートベルトを引き、カチッと私の身体をシートに固定した。

「あのっこれ」

 虹輝さんがシフトレバーを動かして車体をバックさせ始めたので、慌ててバッグからアイスコーヒーの缶を取り出す。

「もらっていいのか?」

「どうそ。ブラックでよかったですよね」

「ああ。悪いけど開けてもらえる?」

 プルタブを起こして再度差し出すと、虹輝さんは右手でしっかりとハンドルを握り、左手でそれを受け取った。喉仏を上下させてごくごくと液体を流し込む姿を眺める。
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