凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「ありがとう」

 渡された缶は空っぽで目を丸くした。

「もう全部飲んだんですか?」

「喉が渇いていたんだ。助かったよ」

「それはよかったです」

 空き缶をひとまずドリンクホルダーに置いたところで車が滑るように走り出す。

 自分の缶を開けながら、二百ミリリットル弱の量を一気飲みするなんて男の人ってすごいなあと感心した。

「なにも決めていなかったよな。どうしようか」

「そうですねえ」

 首を捻って考え込む。

 どこに行くにしてもこの暑さだ。エアコンが効いている室内がいいけれど、買い物や映画はこの前行ったばかりだし、カフェに入ったところで何時間も過ごせるわけじゃない。

「とくに行きたいところがなければ、俺の家に来ないか?」

 頭の片隅にすら浮かんでいなかった案を出されて目を丸くする。
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