凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 夕飯のカレーは予定通りふたりで作り、虹輝さんの手の器用さに驚かされた。

 あたり前だけれど車の運転も上手いし、キスも私を骨抜きにしちゃうし、細かい作業が得意なんだろうな……。

 途中いやらしい思考が紛れ込んだけれど、事実なのだから仕方ない。

 食事を終え、使ったお皿を食器洗い乾燥機の中に入れている虹輝さんを眺めていたら、私の視線に気づいた彼が顔を上げた。

「菜乃、先にお風呂入る?」

 泊まっていく方向でいいのかと考えていたところだったので、思わずかっと目を見開いてしまった。

 距離があるので私の些細な表情の変化に気づかなかったらしい虹輝さんは、顎をクイッとやって、「悪いけどそこのボタン押してくれる?」と言う。

 指示通りに従って給湯器の風呂自動ボタンを押し、刻一刻と迫るそのときにドキドキと胸を高鳴らせた。

「化粧を落としたり、いろいろやることあるだろうから行ってていいよ。ここは片付けておく」

「ありがとうございます。じゃあ……」

 お言葉に甘えて洗面所へ移動して、ひとりになった途端盛大な息を吐き出した。心臓がいくつあっても足りない。
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