凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 私と同じように麦茶をグラスに注いで飲む姿を静かに眺めた。

 声フェチなのは自覚しているのだが、喉仏も好きかもしれない。上下に動くところが色っぽくて目が離せない。

 白のシャツにネイビーの短パンというシンプルな部屋着なのに、どうしてこうもカッコいいのか。

 飲み終わったグラスを片付けた虹輝さんは、私に目もくれずワインセラーの扉を開けて並んだボトルを眺め始めた。

「菜乃のリクエストは?」

「強いて言えば赤かな?」

「重さは?」

「カレーの余韻もあるし……合わせると、フルボディ?」

 問われるがまま答えると、ワインセラーの前で座る丸まった背中が揺れ、クックッと堪えるような笑い声がした。

「言っておきますけど、料理教室に通っているから知識があるだけで、飲んだくれているから詳しいわけではないですよ」

 じろりと背中に鋭い視線を投げる。

「菜乃は可愛いな」

 答えになっていない甘い言葉が返ってきて途端に動揺した。

「な、なんですか、それ」

 一本のボトルを手にして立ち上がった虹輝さんが、私のそばまで歩み寄る。

「菜乃の言動ひとつひとつが俺のツボで、本当に可愛い恋人だなって思っただけだよ」
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