凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 空いている手でポンッと私の頭を撫で、何事もなかったかのようにキッチンへ入って戸棚からグラスを取り出す。

 対して私は、流れるような手際の良さで準備する様を、全力疾走したあとのように鼓動する心音を聞きながら眺めることしかできなかった。

 天体望遠鏡で月の表面や星団を眺めつつ、恋人に注いでもらったワインを飲むのは最高に幸せで、生きていてよかったと心から思う。

 気分がよくてつい飲みすぎてしまいそうになるのを耐え、顔色ひとつ変わらない隣に座る横顔を盗み見た。

 初めて一緒にお酒を飲んだけれど、虹輝さんも結構強そう。

「これを飲んだら寝室に行こうか。生活リズムが乱れるのはよくない」

 体調管理をしているパイロットらしい発言に胸がときめく。

 休日ですら羽目を外さないのだろうな。自分を律しているところが尊敬できて、やはりこの人と一緒にいたいと思わせる。

 最後の一滴まで飲み干して身支度を整え、揃って寝室へ移動した。

 ほどよく冷やされている部屋にはキングサイズのベッドがドンッと置かれ、あとはサイドテーブルと観葉植物、間接照明があるだけ。
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