凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「明日のことは明日考えよう」

「はい」

「おやすみ、菜乃」

 部屋の照明を落として寝る体勢になった虹輝さんは、目を閉じて動かなくなった。

 薄暗い中で綺麗な寝顔を信じられない気持ちで見つめる。

 本当にこのまま眠るつもり? 嘘でしょ……。

 ざわざわと嫌な音を響かせて心臓が鼓動する。

 もしかして女性の身体に興味がない? だから長い期間恋人がいなかった?

 だけどそうなると私と付き合っている彼の行動は説明がつかない。

 唾をごくりと飲み込み、恐る恐る虹輝さんの腕へ手を伸ばした。

 軽く触れると、閉じられていた瞳がすぐに開く。

「どうした? 眠れない?」

「眠りたくないです」

 どういう意味だろうと考えているのか、虹輝さんは瞬きを繰り返す。

「虹輝さんは、私としたくありませんか?」

 息を呑んだ顔を真っ直ぐに見据えながらひと思いに言う。

「私は虹輝さんに抱いてもらいたいです」

 彼の腕に置いたままの手が小刻みに震えている。たぶん虹輝さんも気づいている。

 どうしよう。引いたかな。

 優しい彼のことだ。女性の私からこんなふうに懇願されたら、たとえ嫌でも断りにくいよね……。

 言ったそばから後悔し始めて、目を合わせていられなくなった。引っ込めた手はやり場をなくしてさまよう。
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