凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
悪天候
虹輝さんと幸せで穏やかな時間を過ごした休み明け。
「菜乃さん、椎名さんですよ」
出発業務をメインとする私とは違い配置換えの多い朱莉ちゃんだが、今日も同じゲート勤務にあたっている。
遠くの方からコーパイとCAを引き連れ歩いている悠々しい姿を、まぶしいものを眺める気持ちで目を眇めた。
虹輝さんは今日から四日間ニューヨークのフライトがある。五日後の休みの日に会う約束をしているけれど、ステイ中に電話ができるかもわからないし、実は少し不安だ。
「あんな素敵な人が彼氏だなんて、ほんとーっに、うらやましいです」
「朱莉ちゃん、誰が聞いているかわからないから」
こそっと耳打ちすると、朱莉ちゃんはキョトンとする。
「え? 内緒にしているんですか?」
「まだそれについて話し合っていないの」
仕事に真面目な彼だから、職場で騒がれたくないかもしれない。
「えー、でも、明らかに菜乃さんのこと見ていますよね」
その通りで、距離が近づくにつれ虹輝さんの眼差しが自分に注がれているのがわかった。
胸がドキドキと鳴ったが、感情が表に出ないように背筋を伸ばす。