凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 電車に乗り自宅マンションへ帰宅してもそれは変わらず、だんだん気が滅入る。

 羽田発ニューヨーク着の直行便はフライトが十三時間に及ぶ。時差もちょうど十三時間日本が進んでいるので、虹輝さんは十時二十分に飛んで十時十五分に到着する。

 日付が変わるまでには連絡が来るだろうか。

 ただ明日は早番なので四時起床だし、二十二時には就寝しないと体力がもたない。

 身体によくないのでお酒の力に頼りたくなかったけれど、そわそわして落ち着かず眠れそうになかったので、アルコール度数が強めのワインをグラス一杯飲んでからベッドで横になった。

 ふと目が覚めて枕もとに置いてあるスマートフォンを探す。画面を光らせるとまだ未明三時を回ったところだった。

 メッセージアプリを開いてみたが誰からの連絡も入っていない。

 疲れているし、ホテルに着いてすぐ寝てしまったのかも。

「雨か……」

 建物を打ち鳴らす音に耳を澄ませ、のそりとベッドから降りてカーテンを開けた。

 窓ガラスは雨水で滲み、遠くの方で落雷がしている。恐らくこの音で起きたのだろう。

 大型の台風が関東に近づいてきている。最も接近するのはまだ先なのに、すでにこの雨風では飛行機運航に影響を及ぼしそうで憂鬱になる。
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