凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 目が覚めてしまったし二度寝は諦めて、冷蔵庫からレモン水を出してコップ一杯飲み干した。

 それから顔を洗って歯磨きをして化粧をする。身支度を整えたらテレビのニュース番組を流し、スマートフォンを手にした。

 虹輝さんへのおやすみのメッセージは既読になっている。続けて送ると彼へプレッシャーをかけると思い、【おはようございます。こっちは大雨です】とだけ送信した。

 いつもよりのんびりとした朝の時間を過ごして空港へ向かう。お昼休憩までには返信があるだろう、と考えていたこのときの私にはまだ心の余裕があった。

 十三時を迎えてランチタイムになっても返事がなく、しかも既読にすらなっていないのを知って心臓がドクドクと嫌な音を立て始める。

 電話をしようかと頭をかすめたが、寝ているところを起こしたら申し訳ない。

 仕事が終わるまで一時間ほどだしもう少し様子を見よう。

 気持ちを奮い立たせて業務にあたり、タイムカードを切るまでなんとか気丈に振る舞っていたのだが。

 更衣室でメッセージアプリになにも届いていないのを目の当たりにして吐き気がした。

 連絡を取り合うようになってから、一度もこんなことなかったのに。
< 179 / 248 >

この作品をシェア

pagetop