凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「紺野もいるし……と思ったけど、心配事を増やしただけだったよな」

 首を左右に振ると、虹輝さんは安堵したように息をついた。

「いろいろ考えてくれていたんですね。ありがとうございます。私、不安で心が押し潰されそうでした。虹輝さんとなら自分を見失わず、強くあれると思っていたけどダメでした」

 虹輝さんは顔を悲しげに曇らす。こんな表情をさせたいわけじゃないのに。

「誰だって丸三日恋人から返事がもらえなければ不安になるし、電源さえ入っていないと知ったら心配する。菜乃の依存体質は関係ない」

 諭すように言われて泣きそうな衝動が喉元からせり上がってくる。

「例えそうだとしても、菜乃が不安にならないように、全力で愛せばいいんだろう?」

「もう十分気持ちは伝わっています」

「そうでもない」

 目を細め慈しむような眼差しを注がれて、優しすぎる彼の心遣いに涙が溢れて困ってしまう。

「好きだよ」

 甘い声で囁かれ、親指の腹でそっと涙を拭われてしまってはすべてを委ねたくなる。分厚い胸板に顔を擦り寄せた。

「私も好きです」

 私の顎を持ち上げて自分の方を向かせた虹輝さんは、唇が触れる程度の優しいキスをした。

 こちらの反応をうかがいながら一回一回丁寧に行為を繰り返す。

 大切にされているのがひしひしと伝わり、どす黒く濁ったドロドロの液体が綺麗に浄化されていくような感覚がした。
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