凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
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 同棲の件は一旦保留にさせてもらった。本音はすぐにでも一緒に暮らしたいところだが、さらに依存する気がして躊躇したのだ。

『使いたくないなら使わなくてもいい。菜乃の安心材料になればそれでいい』

 あの日虹輝さんはそう言って、私が返そうとする合鍵を受け取らなかった。

 私たちが初めて言葉を交わした沖縄での夜も、恋愛体質という秘密を共有することを、お守りだと思えばいいと言っていた。

 彼はずっと変わらず私を見守ってくれている。

 実際、彼の言動は大きな安心感をもたらし、とくに問題も起きずあれから一週間が過ぎた。

 八月十五日の日曜日、お盆の忙しさ真っ只中である。食堂でお昼ご飯を食べたあと、なかなか連絡が取れずにいる姉に電話をかけた。

『もしもーし』

「日菜香ちゃん、久しぶり」

『やっと話せるね。どう? こっちに来れそう?』

 沖縄の旧盆は八月二十日から二十二日だが、あいにくその三日間は仕事が入っているので、明後日からの二連休、十八日と十九日に行こうと考えている。
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