凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 約一分待つと説明書にはあったけれど、たぶんそんなに待っていない。

 すぐにくっきりとした二本線が現れて頭が真っ白になった。

 なにも考えられず、スティックを掴んでトイレの中で立ち尽くす。どれくらいそうしていただろうか、額から汗がぽたりと落ちて正気に戻った。

 ドッドッと太鼓を打ち鳴らすような心臓の音を聞きながら部屋に入り、テーブルにスティックを置いてスマートフォンを手にし、コンドーム避妊率と入力して検索すると。

「え、そうなの……」

 避妊法の代表格であるコンドームだが、その避妊率が約八十五パーセントと書かれており、初めて知った事実に愕然とした。

 さらに詳しく見ていくと、きちんと使用すれば妊娠率は三パーセントだが、適正に使用できていないケースが多いらしい。

 こんなふうに説明したら、虹輝さんに責任があると言っているようなもの……いや、妊娠を望まないのであれば、ピルも合わせて服用しなければいけなかったと言えば、私に非があると伝わるだろうか。

 そこまで考えて、そもそも妊娠したと言えるはずがない、と項垂れる。

 いくら誠実に付き合ってくれているとはいえ、まだ交際一ヶ月にも満たない。

 仕事をなにより大事にして頑張っている虹輝さんは、まだまだ結婚なんて考えていないだろうし、私の妊娠なんて厄介事でしかないはずだ。
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