凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 それから排卵日を調べ、虹輝さんと初めてした日がそうだったのだとわかり頭を抱えた。

 衝撃が大きすぎてしばらく動けずにいたら、スマートフォンが振動してビクッと肩を揺らす。

 相手は虹輝さんで、【もう家に着いてる?】という短いメッセージだった。

 いつもなら仕事が終わったタイミングでこちらから連絡をするのに、今日は切羽詰まって疎かになっていた。

 本音は今すぐ会いたい。会って抱きついて弱音をこぼしたい。しかしそれはできない。

 今日の今日では動揺が伝わって誤魔化せないし、なにより笑顔でいられる自信がない。

 体調が悪くなったから会えない、と打ち込んだ文を消す。心配して栄養のあるものを買い込んでここまで来そうだ。

 ああでもないこうでもないと悩み、母親の体調が悪くなって会いにいかなければいけないから、今日の食事はキャンセルしたいと送った。

 すぐに【時間があれば夜に電話がしたい】と返信があり、ひとまず了承の返事をする。

 電話なら大丈夫だよね。夜まで時間はあるし、それまでに気持ちの整理をしよう。

 日菜香ちゃんに相談したいけれど、当事者である虹輝さんより先に他者に伝えるのは気が引けてできない。

 自分でどうにかしなくちゃ……。
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