凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
 菜乃という素敵な恋人がいるから、女性がいる飲みの席には行きたくない、と本当は言いたい。

 しかしそれで菜乃にまで影響が及んだら困るので、当たり障りのない断り方しかできない。

 もっとハッキリ拒絶の姿勢を見せたいところなんだけどな。

「NAL925便、那覇空港行き。よろしくお願いします」

 姿勢を正して真っ直ぐに伝える。彼女は唇をキュッと結び、なにも言わずこくりとうなずいた。くるりと方向転換をして菜乃の姿を探す。

 接客にあたっているところを見つけ、CAとのやり取りを見られていただろうかと胸がざわつく。

 足早に彼女のもとへ行き、人がいなくなった隙を見計らって声を掛けた。

「菜乃」

  俺と目を合わせた菜乃は「お疲れさまです」と微笑を浮かべた。懸念を抱いていた俺としては肩透かしをくらって呆気に取られる。

「さっきそこで……」

 もしかして見ていなかったのか? だとしたらわざわざ報告して、嫌な気分にさせる必要はないよな。

 どうしようかと思いあぐねている俺を見据えて、菜乃は「ああ」とうなずく。

「CAに引き留められていましたね」

 やっぱり見ていたのか。
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