凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
うろこ雲
 
 台風が多い時期だが、今日は晴天で空に可愛らしい雲が浮かんでいる。

 この仕事についてから空を見上げる機会は増えた。空が好きな虹輝さんと付き合ってからはもっと。

 そっと優しくお腹に触れる。

 病院へ行き、正常に妊娠していると診断を受けた。心拍が確認できないことから、おそらく五週目前半だと言われた。虹輝さんと初めてした日に排卵していたとしたら計算が合う。

 次の診察が二週間後。そんなに長い間悶々としなければいけないなんてひどい話だ。

 赤ちゃんがお腹からいなくなっていないか心配で、今朝も妊娠検査薬を使用した。前回よりさらにラインの色が濃くなっていて、無事に成長しているのが実感できてホッとした。

 正直今はお腹の子と、虹輝さんに伝えるタイミングにばかり意識が向いて、虹輝さんがCAと親しげに話をしていてもまったく気にならない。

 どうしても心拍の確認ができてから報告したい。なにがあるかわからないし、こんな想像したくもないけれど、ダメになる可能性だってある。

 勘のいい虹輝さんにこれ以上隠し通せるだろうか。明後日会ったら身体を求められるだろうし……。

 不思議と産む選択しか頭に浮かばなかった。私はこの子を産み育てたい。

 彼は赤ちゃんを諦めてほしいとは絶対に言わないはず。でも責任を感じて無理して結婚してほしくないし、反応が微妙だったらひとりで育てていくつもりだ。

 数日かけてここまで気持ちが固まった。
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