凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました～臆病な彼女を溶かす溺愛初夜～

「新川さん」

　近づいてきた同僚が深刻そうな表情で口を開く。

「ちょうど休憩の時間だから……」

　同僚はそう言ったきり口を濁す。

　端的な情報しかまだ与えられていないので、私にどう声を掛けていいのか困惑しているのだろう。

　お礼を伝えて少し早いけれど休憩に入らせてもらう。その足で展望デッキに向かうと、もうすぐ十九時を迎えるこの時間にしては明らかにおかしいほどの人影があった。

　そのどれもが空港関係者で、ただごとではない気配が漂っている。

　ふと見知った姿を見つけて近づいた。

「紺野さん」

　振り返った紺野さんは私に目を止めると眉根を寄せた。

「新川さん……今日勤務だったんだね」

　紺野さんと話をするのはこれが初めてだ。できればこんな形ではなく、虹輝さんの恋人として紹介してもらえたらいいなと思っていたのに。

「遅番で入っています。今は休憩中です」

「俺はスタンバイなんだ。オフィスでモニター見ているより、この目で確認したくてきた」

　集まった人々の喧騒の中に囲まれて声が聞き取りづらい。