凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「ちなみに衝突件数のうち、エンジンへの吸い込みは全体の約二十パーセント――あれか?」

 紺野さんが目を眇めた方向に視線を移したタイミングで、辺りから悲鳴のような声が上がった。

 理由は一目瞭然だ。視界に入ってきたボーイング787の左エンジン部分から黒煙が流れていたから。

 目を凝らすと、赤い炎が噴き出しているようにも見える。

「火災が鎮火されていないのか」

「このまま着陸するんですか? 爆発とかしないですか?」

 矢継ぎ早に質問を重ねる私に、紺野さんはなにも答えず険しい表情を作って唸った。

 滑走路への着陸を待つ消防車がすでに何台も待機しているのが確認できる。空港に慣れ親しんでいる人間ならば、この状況が普通とは違うと勘づいて騒いでいるだろう。

 フロアは大丈夫だろうか。旅客もスタッフも混乱していないといいのだけれど。
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