凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
「恋人があの炎が出ている飛行機を操縦しているんだよ。普通は気が動転して、泣いてもおかしくないのに」

「え、でも、虹輝さんならこの危機を、乗り越えられるって思いませんか?」

 紺野さんはキョトンとしたかと思ったら、「アハハッ」と破綻した。

 彼の方が場違いな態度だけれど、周りは飛行機に集中していて私たちを気にも留めていない。

「たしかにそうだね。さすが新川さんだ。椎名さんを信頼しているんだね」

 そんな大それたものじゃないはず。だけど、私は虹輝さんの言動のすべてに信頼を置いているのだと、紺野さんの発言で気づかされた。

「ふたりの関係がうらやましいよ。……いや、違うな。眩しい、が妥当かな」

 紺野さんは目元を優しく和らげて私を見た。

 過去交際した相手にここまでの想いを持ったことはなかった。

 この気持ちを大切に育てていけば、この先自分を見失ったりしないのではないだろうか。

「来たよ」

 表情と声を引き締めた紺野さんに大きくうなずき返し、胸の前で両手を強く組んだ。

 お願い。無事でいて。
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