凄腕パイロットの極上愛で懐妊いたしました~臆病な彼女を溶かす溺愛初夜~
彩雲

side 虹輝

 
 菜乃のつわりが酷くなる前に、休みが重なった日を利用して両親への挨拶をした。

 俺は三十四歳にもなって女性の気配が皆無で仕事に明け暮れていたから、菜乃が妊娠していると両親に伝えたら大袈裟なくらい喜ばれた。

 これまで好き勝手させてもらっていたが、内心孫の顔が見たいと願っていたのだと初めて気づかされた瞬間でもあり、いろいろと考えさせられた。

 今後は親孝行をしていこうと思う。

 菜乃は自身の母親に、『恋愛で失敗したからしばらく仕事に生きる』と宣言していたらしく、もう結婚は諦めていたから感謝しかない、と拝み倒された。

 それぞれの親に妊娠の報告をするまで不安心から浮かない顔をしていた菜乃は、皆が俺たちを祝福する姿を目の当たりにして安堵した様子だった。

 青天の霹靂とも言える妊娠報告から一ヶ月が経った。お腹の子は十週に入るところで順調に育っている。

 まだ妊娠三ヶ月なので安定期には程遠い。だからこそ無理をさせたくないので、早々に入籍を済ませ会社に報告したいのだが、それができない理由がひとつあった。
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